「スプリントトレーニングのバリエーションが少なくて、いっつも単調な内容になっちゃうよ〜」って相談されました。
私個人的には、単調なトレーニングを嫌いではないのですが…ジュニア選手とかは飽きちゃうのかな。
以前、Twitterで水泳トレーニングの「ハイポ(呼吸制限)練習」に関する論文を紹介しました⇣
水泳選手が実施している「呼吸制限(Controlled Frequency Breathing)」ハイポ練習は、呼吸筋の疲労耐性を高めてパフォーマンスを向上させる可能性があります。https://t.co/llo5976rJE
— YY (@hari_sports_YY) July 29, 2020
意外と興味がある方が多かったように感じます。
今記事では、反復スプリントトレーニング中の呼吸制限について思考を巡らせるために
ひとつの研究論文を引用させていただきます。
いつもと同じトレーニングに「ひと味」加えるような感覚で取り入れてみてね。
論文紹介
題名:Repeated-Sprint Training in Hypoxia Induced by Voluntary Hypoventilation in Swimming
著者:Laurent Trincatら
公開日:2016年8月
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27294771/
論文結果:呼吸制限トレーニングはスピード持久力の向上に効果ありかも。
✅呼吸制限”あり”グループは、反復スプリントテストの結果が改善した。しかし、呼吸制限”なし”グループは反復スプリントテストの改善は見られなかった。
✅トレーニング中に測定された血中乳酸値は、呼吸制限”あり”グループで明らかに高かった。
✅トレーニング中に測定されたSpO2は、呼吸制限”あり”グループで明らかに低値(スプリント直後は平均84%)であった。
論文内容:2週間(計6回)のスプリントトレーニングを2グループに分けて実施
<参加者>
16名の水泳選手(男性9名/女性7名)が実験に参加。平均年齢15歳。
週9時間以上のスイムトレーニングおよび週3時間以上のストレングストレーニングを実施している集団。
<実験内容>
✔2週間(週3回:計6回のトレーニング実施)の実験期間を設けた。
✔2つのグループに分けられて実施。
・呼吸制限ありグループ(男性4名/女性4名)
・呼吸制限なしグループ(男性5名/女性3名)
※呼吸制限ありグループは、15mスプリントの直前に「息を吐ききってスタート、スプリント中は無呼吸」という指示が出された。
✔トレーニング内容は以下⇣(25mプールで実施)
15m×16本×30秒サイクル×2セット
(15mスプリント後の10mは低強度で壁へ向かった)
(1セット終えるごとに20分間のアクティブリカバリー)
✔トレーニング期間の前後で”反復スプリント(スピード持久)テスト”を実施
25mスプリントを35秒サイクル
ベストタイムから算出された基準タイムが設定され、そのタイムよりも遅くなったらテスト終了。という内容。
私見まとめ
スプリントトレーニングにおいて、呼吸制限をするかしないか?
という視点で考えたとき、「呼吸制限をする」ほうが得られるトレーニング効果が大きいのではないか。と考えさせられました。
「息を吐ききった上での」無呼吸スプリントスイム、やってみよ〜。
呼吸制限ありグループでの15m×16本スプリント中、「血中乳酸値」および「SpO2値」が明らかに負荷が高かったこと。トレーニングによる生理学的な負荷が高いと言えるでしょう。
どうせ同じ時間・同じ距離を”ガンバる”ならば、ちょっとでも効果的なほうが良いな。
競技力の高いトップアスリートは、
こういった、ほんの”ひと手間”を当然のように実施している方法なのかもしれません。
トップアスリートにとっての「当たり前」は、ジュニア選手などから見ると「意識高い系」にうつっているかも。
トレーニングにおいて、同じ労力・同じ時間を費やすのであれば、より効果の高いと考えられる方法を選択していきたいよねぇ。