トレーニングを実施するときの『テンポ』、気にしていますか?
ただ何となく、回数をこなすだけになってテキトーなテンポになったりしていませんか?
今記事では、筋力(レジスタンス)トレーニングで、特に瞬発的能力(RFD)を鍛える手法である【高速エキセントリックトレーニング】の紹介をしたいと思います。
RFDとは何か?についての過去記事↓
そもそも、筋トレのテンポとは?
(6/0/2/0)
このように表記されたりします。数字は秒数を示しています。
例えば、スクワットの場合
6秒:下降(エキセントリック)局面
0秒:切り返し(下降から上昇へ)局面
2秒:上昇(コンセントリック)局面
0秒:切り返し(上昇から下降へ)局面
このように、それぞれの動作に対する時間となります。
高速エキセントリックトレーニングについて
エキセントリックとは、筋肉が引き伸ばされながら収縮する「伸張性収縮」のことを指します。
スクワットなら「しゃがむ」動作。懸垂なら「下降する」動作。腕立て伏せなら「床へ近づく」動作。
これらのエキセントリック局面を高速で動作しようとするのが「高速エキセントリックトレーニング」ということになります。
速いテンポの動作で瞬発力(RFD)が向上しやすい
✅高速(1秒未満)エキセントリックのほうが、低速(4秒)エキセントリックよりも、瞬発力(RFD)の向上が明らかであった。スミスマシンでのスクワットによる実験。
(Angeliki-Nikoletta Stasinakiら:2019)
速いテンポの動作では、筋疲労も大きい
✅高速(2秒)エキセントリックのほうが、低速(6秒)エキセントリックよりも、コルチゾール・IGF-1・成長ホルモンの反応値が高いことが分かった。スクワットとベンチプレスによる実験。
✅高速エキセントリックのほうが、低速エキセントリックよりも、その後の筋力低下および筋肉痛の増加を引き起こす可能性が示唆された。サイクルエルゴメーターによる実験。
✅高速エキセントリックのほうが、低速エキセントリックよりも、大きな筋肉損傷を引き起こす可能性が示唆された。等速性ダイナモメーターでのアームカールによる実験。
私見まとめ
まず述べておきたいのは、速いテンポでも遅いテンポでも、フォームありきで取り組んでいきましょうということ。
速く動かしたほうが瞬発力が向上するからといって、フォームが崩れてしまっては狙った効果が得られないばかりかケガ故障にも繋がってしまうでしょう。
次に述べておきたいのは、高速エキセントリックばかりトレーニングとして取り入れているだけではダメよということ。
高速エキセントリックも、数あるトレーニング刺激のうちの1つであるという認識をもっていきましょう。刺激が成長のキーポイント。
重さの設定について
高速エキセントリックを実施する場合は、1RMの30%~40%程度もしくはそれ以下で設定することをオススメします。
一般的に、エキセントリック局面では今セントリック局面と比べて、大きなチカラを発揮しやすくなります。
ベンチプレスやスクワットで「降ろす」ことは出来ても「上げる」ことが出来ない、という経験をしたことがある人も多いでしょう。
高速エキセントリックトレーニングは、
✔重量は軽めに、素早く動作し、ピタッと止まって切り返す。
このような意識で動くことを実践してみましょう。
速いテンポを取り入れるときの注意点
高速エキセントリックトレーニングでは、筋疲労が大きくなりやすく、筋肉痛も発生しやすくなります。
大会などを直前に控えている場合などは、回数や頻度を配慮してほしいと思います。
競技パフォーマンス向上を狙って、トレーニングを中長期的に取り組む場合は計画が重要となります。